「ウイルス」じゃなくって、「ビールス」だったよね

ビールス 昭和 懐古

 図鑑もウイルス表記じゃなかった

2020年3月現在、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るってますが、、、 昭和40年代くらいまではウイルスじゃなくて「ビールス」って言ってましたよね。
当時、私の愛読書だった小学館の学習図鑑「保健と人体の図鑑」の中にも「ビールス」と表記されてます。

インフルエンザビールス
昭和44年刊 小学館 学習図鑑 「保健と人体の図鑑」より

いつ頃からウイルスになったんでしょうか?  私の感覚だと昭和50年代後半にはもう「ウイルス」と言っていたような気がします。

調べてみたら学会では昭和28年から「ウイルス」表記が正式名称になっていたんだとか。しかし、医者や現場ではドイツ語発音の「ビールス」が一般的でこちらが70年代くらいまで使われていたそうです。

日本の西洋医学は黎明期にドイツに学んだことからドイツ語由来の用語が数多く残ってます。「カルテ」とか「クランケ」とか・・・  
子供時代、医者に行くと先生が診察しながら何やらカルテに横文字をグニャグニャ書いていて、親から「あれはドイツ語だよ」って言われて、それだけで「お医者様って偉いんだ~」って尊敬してました。

でも、今どきのお医者さんってクランケとか言わないですよね。(ブラックジャックは使ってますね)ドイツ語でカルテを書き込んでるお医者さんってかなりご年配の先生だけです。現在のお医者さんがPCに書き込んでるのを見ると大抵、英語か日本語です。
ちなみにウイルス(virus)はラテン語発音だそうです。英語の発音だと「ヴァイラス」という感じでしょうか。

外来語の難しさ

日本における外来語ってこのように、時代、最初にもたらされた国、表記法等によって日本独自の用法となるため、実は外国人にとってかなり難しいらしいです。

先ほどのカルテもドイツ語ではkarte=cardの意味なのですが日本では医者の使う診療録のみを指すことになります。同じくポルトガル語のカルタ carta=cardも日本では遊戯に使用する札のみの意味しか持ちません。 アルバイトも確かドイツ語では労働一般を指す言葉だったのに日本では学生などの文字どうりアルバイトを意味するし、またそれを「バイト」とか略しちゃうし・・・。

加えて、元々日本語で表記できない発音を無理やり仮名表記するから無理が生じます。で時代によって表記が変わったり。 そういえば、アメリカの「レーガン大統領」が大統領選に出馬してきたとき、当初、TVニュースでも「リーガン」という表記を使っていたような気がします。
それから最近知ったのですが、現在の教科書では「リンカーン」ではなく、「リンカン」表記となっているそうですよ。

ニュースで日本に長く住んでいる外国人の方が外国人向けに「日本における外来語辞典」を作った話題を見たことがあります。外国人にとって日本における外来語はある意味、純粋な日本語より難しいのでしょうね。

ネイティブ