桃屋の瓶詰めの原点、「江戸むらさき」

江戸むらさき 食べ物 店

現在、桃屋を代表する商品と言えば、海苔の佃煮「ごはんですよ」です。定番中の定番商品なので、これをおいていないスーパー、コンビニはまずないでしょう。

「ごはんですよ」の登場は昭和48年(1973)のことです。それまでの桃屋のフラッグシップといえば昭和25年(1950)発売 海苔の佃煮、「江戸むらさき」でした。今回はこの桃屋の瓶詰めシリーズの原点ともいえる「江戸むらさき」についてです。

何はなくても・・・江戸むらさき

「何はなくても・・・江戸むらさき」のキャッチフレーズと、三木のり平のアニメと共に、ごはんのお供の常備品として、ロングセラー商品となっています。しかし、最近は後発の「ごはんですよ」等に人気をうばわれて、おいてないスーパーも多くなりましたね。

三木のり平は、最初の「江戸むらさき」から、最近の新商品までずっと桃屋のCMのキャラクターで、1999年に亡くなってからも続いています。このよう例は他にないですよね。もうほとんど桃屋のアイコンと言っていいかと思う存在です。

ちなみに桃屋は戦前は漬物とか果物の缶詰めの製造販売や卸売りなんかをしてきたみたいです。なので、「桃」屋という社名で、トレードマークが「桃」なんですね。 戦後になって、海苔の佃煮が人気になって、こちらが本業になっていったという経緯があるみたいです

先日、桃屋の「かつを塩辛」がなかなか入手できないので、桃屋オンラインショップで、注文したのですが、一本だと送料が割に合わないので、ついでに最近店頭で見かけない、「江戸むらさき」と、「江戸むらさき 特級」(昭和38年発売)も一緒に頼んでみました。

こんなにかたくて、しょっぱかったっけ?

久々に本家の「江戸むらさき」の実物を手に取りました。早速、試食。

あれ、こんなにかたかったっけ。。

普段は「ごはんですよ」なので、あのトロっとした感じになれていたので、ひじょうにかたい感じがします。

早速試食。まずはそのまま。。

う~ん、しょっぱい。。

そのままだと、塩気が強すぎる。 次に白いごはんに乗せて、、 まあ、これならいいですけどやはりしょっぱいですね。そして、固めなので、ごはんに乗せてのばそうとしても広がらない・・・ 冷えたバターがのびなくてパンにうまく塗れないあの感じ・・・

こんなだったかなぁ。。我が家も「ごはんですよ」が出る前までは、こいつが常備されていたはずなんですが、今食べてみると塩気ばかりがきつくて、あまりおいしいとは思えないのが正直な感想です。

「ごはんですよ」が出た頃、父親が「こりゃ子供向きだな。甘くって食えねぇ。」なんて言ってたことを思い出しました。 以前の記事にも書きましたが、冷凍、冷蔵の技術など発達していない時代の水準だと、これぐらいの塩気が普通だったのでしょう。このブログで紹介した、「いか塩辛」や「かつを塩辛」も昔の保存食の塩分水準なのだと思います。

塩辛いけど旨い!! 桃屋の「いか塩辛」はこちら

塩分Max!! 桃屋の「かつを塩辛」はこちら

桃屋のHPを見ると、高度経済成長も終わって、オイルショックの頃、日本人の暮らしも豊かになって、これからはもっとソフトで甘い味が求められるという考えの元で「ごはんですよ」が誕生したらしいです。昭和40年後半~50年代はマクドナルドやKFCなどのファストフードが上陸したり、ファミレスが生まれたりで、日本人の嗜好も大きく変化したんですね。

たしか、「ごはんですよ」の前に「江戸むらさき」の甘口という位置付けで「幼なじみ」という商品もありました。それを更に改良したのが「ごはんですよ」なんだと思います。今でも「ごはんですよ]の瓶のラベルには「江戸むらさき」の文字が入ってます。「江戸むらさき」の流れをくむ商品として、登場したというルーツがわかりますね。で、その新バージョンのほうが、豊かになった日本人の口にうまくはまって、今日の定番となったわけです。  

昭和46年「江戸むらさき」の甘口として誕生した「幼なじみ」「ごはんですよ」への橋渡しになった商品と思われる

桃屋のオンラインショッピッングサイトの商品説明によると、「江戸むらさき」は

国産(主に三河湾周辺で収穫)の板のりを使い、伝統的な佃煮の製法で仕上げました。エキス類は、一切使っておりません。「のり」と「醤油」の旨みと香りを活かした、キレの良い味わいののり佃煮です。

とのことで、「ごはんですよ」は


青さのりの葉の形状を活かす為に、“あさ炊き製法”を採用し、「江戸むらさき」より短い時間で仕上げました。トロリとした食感の中にのりの風味が活き、鰹と帆立の旨み豊かなのり佃煮です。

となっていて、単に甘くしただけではないようです。最近では更に甘くとろっとした「甘いですよ」という商品も出ていて、トーストや、田楽、焼きうどんにもオススメ。とうたっています。
こうしてみると、味覚って、時代によって大きく変わることがわかりますね。

まとめ

桃屋の瓶詰めシリーズの原点、「江戸むらさき」は、かつては桃屋の看板商品でしたが、時代とともにその座を「ごはんですよ」に明け渡しました。しかし、やはり根強いファンもついていて、売れ続けています。慣れ親しんだ味って、安心しますもんね。
食品で何年も売れ続けるベストセラー商品というのは、そんなに簡単に出るものではありません。数十年に数えるほどです。完成された定番商品を変えていくのはかなり勇気のいることです。
桃屋は時代の求める味を予測して新旧の味の引継ぎを上手に成し遂げているなあと感心しています。

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