昭和の遺物!?「ジャパン スネークセンター」

研究室
ショッカーの研究室のような「蛇毒研究室」
昭和 懐古

最近は「昭和レトロ」ブームというか、若い人たちが、昭和テイストのファッションや雑貨を集める人も多いです。昔ながらの純喫茶も「エモい」などといわれて行列ができたりしてるようです。彼らにとって、自分が生まれる前のファッション、デザインはとても新鮮なものに映るのでしょう。

テーマパークやお店も、昭和30年代の世界観をコンセプトにしたものが多くなってきましたね。でも、そんな「狙った昭和レトロ」って、若者にはよいのかもしれませんが、私はあまり興味がありません。

コンセプトも何もなく、ただ時流のなかで取り残されてしまった「本物のレトロ物件」こそ、貴重で面白いものです。

さびれた温泉街にある高度成長期の遺物⁈

群馬県太田市藪塚にある「ジャパンスネークセンター」はまさに取り残された昭和レトロ物件です。私は中学時代、太田市に住んでいました。その頃、藪塚は新田郡藪塚町でしたが、後に太田市に吸収合併されたんですよね。「ジャパンスネークセンター」には40年以上前に1回行ったことがあります。ヘビ料理のレストランがあったことが妙に印象に残っています。ヘビ料理は食べなかったんですけどね・・。
地元では「ジャパンスネークセンター」なんて名称じゃなくて「藪塚のヘビセンター」という呼び方が一般的でした。このブログでも「ヘビセンター」と呼ばせていただきます。

休日に子供が「どこかに連れってて~」と、うるさいので、日帰りドライブの行く先もネタ切れだな・・・。 と思っていたところ「関東日帰りスポット20選」みたいのを検索していたら、懐かしい「ヘビセンター」を発見。ダメ元で提案したら、以外にも「行きた~い!」ということで、40数年ぶりに行ってきました。

藪塚は藪塚温泉という温泉地で、観光ホテルや旅館が数件あり、かつてはマイナーな温泉地ながらもそれなりに賑わっていたのですが、首都圏に近い小規模な温泉地で、大きな温泉街があるわけでもなく、高度経済成長期が終わると、さびれた場末の温泉地という感じになっていきました。そしてコロナの影響もダメ押しとなってもう営業してるところはごくわずかになっているようです。

「ヘビセンター」の横には「三日月村」という「江戸時代の町」をコンセプトにしたテーマパークもあります。こちらは若い方は知らないと思いますが、1970年代に大ヒットした時代劇「木枯し紋次郎」の原作者、笹沢佐保氏が「紋次郎」の世界観を再現したテーマパークを構想、藪塚町が誘致したという経緯があります。
確か入園(村)者は入口でお金を江戸時代の「寛永通宝」を模した当時のお金に換えて、村内は全てその古銭を使うというシステムだったと思います。園内のお店の品物や食べ物の単位が「100文」か「1両」とかで表示されているという感じです。 もっとも「紋次郎の世界」を忠実に再現という初期のコンセプトはどんどん崩れて、ファミリー層を対象とした、トリックアートみたいなアトラクションなど、よくわからないテーマパークとなっていったようです。

「ヘビセンター」や「三日月村」が作られたということは、往時はそれだけ温泉の来場客等でにぎわっていたのでしょう。かつて「ヘビセンター」に来た時も、かなり混雑していた記憶があります。
子供の頃だったので、道のりは全く覚えていません。ナビをたよりに「ヘビセンター」に向かうと、温泉口という入口に案内されます。この温泉口というのがめちゃくちゃ狭い路地で、駐車場も数台しかないし、とても狭いです。切り返しも必要で、車の運転が苦手な人だと、他の車が混んでいるとかなり難儀することになります。 三日月村の方にメインの入口があってそちらの方がよいと思いますが、なぜかナビはこの狭い「温泉口」を目指すんですよね。

「ヘビセンター」はショッカーのアジト感のある建物だった。。

まず、入口で入園券を買って、入場。入場券売場は売店の中にあって、おばちゃんが手でチケットを切ってくれます。この売店もさびれ感満載でいい感じです。「ヘビセンター」のサイトでは

JSCオリジナルTシャツやステッカーをはじめ、ヘビの本やマグカップなど
ヘビに関する素敵なグッズをご購入いただけます。オンラインショップとは異なる
ラインナップでお安くなっております。店舗しか販売して居ないレアグッズも!

「ジャパンスネークセンター」 HPより

と、紹介されていますが、なんともやる気のない売場に、オリジナルTシャツをはじめ、おそらく何年も売れていないような感じの土産物が雑然とおかれていて、場末感を醸し出しています。
そして、あの「ヘビ料理」のレストランは人手不足を理由に無期限閉鎖中とのこと。おそらくもう二度と開店しないでしょうね。

「ヘビセンター」は元々、単なるテーマパークではなく、「一般財団法人 日本蛇族学術研究所」というところが所有していて、毒蛇などを研究してそこから毒蛇に咬まれた場合に使う「血清」の採取等を行う研究機関でもあるんですね。
その前身は「陶陶酒」というマムシと漢方薬を調合した薬用酒の会社が、原料の蛇類の応用研究で設立したみたいです。 
「陶陶酒」って、昔はよく駅の「キオスク」でおじさんがカップのタイプを飲んでいるのを見かけましたが、会社は一度、民事再生法が適用されたようです。でも、生産は続いているみたいです。飲んだことはないんですが、「養命酒」みたいな感じでしょうか。

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「ヘビセンター」40数年ぶりの入場! です・・・ 

うーん、なにも変わってないぢゃないか!!

施設も展示物も昔入ったときのままで経年劣化している感じです。これはスゴイ!!  まさに作りものではない「昭和レトロ」。
ここは設立が昭和43年なので、「昭和レトロ」を売物にする店やテーマパークが想定する時代、映画「3丁目の夕日」に象徴される昭和30年代より、少し時代が下がった高度経済成長後期の感じがまた中途半端でとても好ましいです。

研究棟の「日本蛇族学術研究所」と書いてある建屋は、まさにそのころの「ウルトラマン」「ウルトラセブン」初期の「仮面ライダー」で、何とか博士の研究所とか、ショッカーが改造人間を研究しているアジトなどに使われていそうな雰囲気にワクワクします。それに加えて、この「蛇族」という言葉といい、「採毒室」っていう表示もいいですね。中に入ると目にクマのようなアイシャドウを塗った白衣の研究員が働いている「闇の組織」なのか?、と、想像してしまいます(笑)

休日には、ヘビを首に巻いてくれて記念撮影をするアトラクションもあるようです。しかし、前述したとおり、展示物がむかしのまんまで全くリニューアルされていなくて、そこがさびれ感をブーストしていて、好ましい状態となっています。

もちろん、飼育されている肝心のヘビたちはどんどん入れ替えがすすんでいるみたいです。最近は爬虫類を飼いきれない人の受け入れを行っていて、飼育数は増えているそうです。叶姉妹が飼いきれなくなった「ニシキヘビ」を預けた云々と、Wikipediaに載ってました。

説明の写真や図表は色がセピア色に褪せてしまっているものがまだ貼ってあります。40数年前に来た時も同じものが貼ってあったのでしょうか。歴史の古い学校の理科室に置いてあるような年期物の模型などもあります。ヘビの標本はホルマリンが茶色に濁っていたり、量が少なくなって標本が露出してしまったりと、こちらもおどろおどろしい感じを倍増させています。
「採毒室」とか、研究の実験室も、古めかしい設備で怪しい雰囲気がたまりません。

ヘビの展示は見ごたえあります

と、ここまでディスって(私的には称賛)きましたが、生きている大蛇や世界の珍しいヘビの展示はそれなりの見ごたえがありますよ。屋外には古いコンクリート製のプールがあって、マムシやシマヘビがウジャウジャ放し飼いされていた・・・ のですが、今回はあまり見当たりませんでした。泥とか草の中にいるのでしょうかね。
今でも、ヘビを首に巻いての撮影や、採毒のイベントは人気みたいです。

ヘビ料理のレストランが休止(事実上閉店)していたのが、ちょっと残念でした。ヘビ料理以外は動物園にありがちのチープなカレーとかラーメンを出す普通の食堂でした。ヘビ料理は、結構な値段で、2018年頃の情報でマムシかば焼きが(松)¥4,000(竹)¥5,000(梅)¥6,000(ここは梅が一番上だったんですね)と、ちゃんとした鰻専門店で「うな重」を食べることができる価格。あとはマムシハンバーグ、姿焼きも同様の価格帯。「姿焼き」は想像できるけど、「ハンバーグ」は・・・。 食指がうごきませんね。マムシの生き血とかもあったようですが、保健所の指導で生モノの提供がなくなったらしいです。 いくら珍しくてもこの価格帯では注文しないですよね。それなりの専門店ならまだしも、動物園の食堂みたいな場所でですよ。 往時は温泉に泊まって、「ヘビセンター」に立ち寄って、珍しい「ヘビ料理」を食べる・・・みたいな人たちが多かったのでしょうか。

入場料¥1,000とすれば、結構楽しめる場所だと思います。子供連れの方の入場も多いみたいです。子供って「ヘビ」、特に「毒蛇」とかけっこう興味がありますからね。怖いもの見たさというのもありますし。 決してメインイベントにはなりませんが、休日どこか連れって~とせがまれた時、関東日帰りの場所としてはありだと思います。

「ヘビは見るのもイヤ!」 という人でなければ、一度行ってみてはいかがでしょうか。

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