希望退職後の健康保険は任意継続or国民健康保険 どちらがお得なのか?

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希望退職などに応募して退職をした場合、次の会社が決まっていれば健康保険や年金の手続きは新しい雇用先が手配してくれるので簡単です。

しかし新しい就職先が決まっていない場合や、この先は就職しないで独立する、などという場合は健康保険や年金の変更手続きを自分でしなくてはいけません。

特に健康保険は退職日の翌日には資格喪失となってしまうので、すみやかに手続きを進める必要があります。空白期間を作ってしまうと、その間に医者にかかると10割全額負担となってしまうからです。

資格喪失から14日間以内に新しい健康保険に変更手続きができて申請をすれば負担分が還ってきますが、この期間を過ぎてしまうと返還されないので大きな損失となってしまいます。

新卒で入社してずっとサラリーマンだった人は健康保険や年金に関してはすべて会社まかせだったので、ちょっと面食らってしまうことが多いかと思います。

わたしもそうでした。

この記事では退職後もっとも手続きを優先すべき健康保険について、私の体験をベースにまとめてみました。わたしは2020年12月31日で新卒以来31年間在籍した会社を希望退職で辞めることになりました。

希望退職に関しての記事はこちら↓
55歳で突然の ”希望退職” 募集!! 辞めるまでにやっておくべきこととは?

健康保険の選択肢

健康保険2

失業したときの健康保険の選択は主に次の3つとなります。

  • 家族の扶養に入る
  • 在職時加入していた健保で任意継続
  • 国民健康保険に加入する

家族が社会保険に加入している会社などに努めている場合は、その家族の扶養に入ってしまうという方法があります。

この場合新たに保険料を払うことなく被保険者となれるのが最大のメリットですが、年収が130万円未満であることなどの条件があります。

130万を超えると扶養から脱退するため、その時にまた切り替えの手続きをする必要があります。この先専業主婦(夫)でいく場合は一番よい選択です。

在籍時に加入していた健康保険(企業健保や協会健保)に2か月以上加入していれば、資格喪失日(退職翌日)から20日以内に手続きをすることで任意継続できます。

この場合、現職時の保険証はいったん返却して新たな保険証が交付されます。継続期間は2年間とされていて、2年たつと自動脱退となります。

国民年金の場合は扶養という概念がないため退職者だけでなく、家族全員が個々に加入する必要があります。

それぞれメリット、デメリットがありますので、家族構成や状況を見きわめて一番お得な方法を選択しないと負担額が大きく変わってしまいます。

その後の家計にも大きくひびいてくるため健康保険の選択はよく考える必要があります。

任意継続か国民健康保険か 

健康保険 控除

健康保険を任意継続した場合と国民健康保険に加入した場合のメリット・デメリットをまとめてみました。

任意継続のメリット・デメリット

メリット
  • 企業健保や協会健保独自のサービスを継続して受けられる
  • 退職者だけでなく扶養していた家族分も保険が適用される
  • 標準報酬月額の限度があるので、在職時の倍額を払う必要がない場合がありお得
デメリット
  • 任意継続期間は2年間しかない
  • 会社折半ではなくなるので基本全額を支払う必要がある(限度額あり)

任意継続は在職時と同じ条件で制度を利用できます。一般的に企業健保や協会健保は国民健康保険に比べ独自の補助やサービスがあります。

健康診断などで高度な人間ドックのオプションを受けることができたり、リゾート地の保養所を利用できるなどです。それから高額医療費がかかった場合、法定の給付にプラスして追加給付を受けることができる場合もあります。

また大きなメリットとして扶養という概念があるため在籍時と同じく、一人分の保険料を払えば扶養家族全員が加入していることになります。

保険料は在職時は会社と折半して払っていましたが、退職後は全額を自分で払います。ただし単純に倍額というわけではなく退職時最後の標準報酬月額の上限は30万となっています。

つまり退職後任意継続した場合、月収で30万までは在職時の健康保険料の倍額を払うことになりますが、それ以上は払う必要がありません。

在職時に高額所得者であればあるほど任意継続のほうがお得ということですね。

わたしの場合を例にとってみましょう。数字はわかりやすいように丸めてあります。

わたしの退職前の標準報酬月額は約40万円でした。会社の給与時に天引きされる協会健保の額は約2万3千円です。会社と折半していた分を全額払うとして単純に倍額にすれば4万6千円ですが、実際は限度額があるので任意継続の場合、わたしが納付する額は約3万6千円でした。

国民健康保険のメリット・デメリット

メリット
  • 前年の所得ベースで計算されるので、前年の年収が低い場合は保険料が低い
  • 減免措置がある。特に希望退職、倒産など「会社都合」の退職時にはメリット大
デメリット
  • 前年の所得ベースで計算されるので、前年の年収が高い場合は保険料が高い
  • 扶養の概念がなく、家族の人数分の保険料がかかる。大家族は負担大

国民健康保険の保険料は前年の所得ベースで計算されるため、年収が高かった人が退職して収入が無くなってしまった場合、高額な保険料を納めることになって負担が大きいです。

逆に前年度の所得が低い場合は保険料が安くなります。

もう一つ大きい要素として健康保険に加入する家族の人数があります。国民健康保険の場合、企業健保や協会健保のように扶養の概念がないため、家族各々で加入する義務があります。

とはいっても家族全員が同一額でそれに人数を掛けるという単純な計算式ではありません。国民健康保険の保険料の算出は平等割、均等割、所得割など複雑な算出方法になっているので世帯主や配偶者、子供によって納入額が変わってきます。

さらに国民健康保険には減免措置もあるので、それらを加味したうえで一番お得な選択をする必要があります。国民健康保険料の算出は複雑なので理解しようとするより、地元の自治体で試算してもらうのが手っ取り早いです。

特に希望退職や倒産など、会社都合による失業の場合は「非自発的失業者の負担軽減」という軽減措置があって
前年の所得を30/100として保険料を算出するため、かなり負担が低くなります。

例えば前年500万の所得がある人であればその所得を150万として算出するということです。

軽減期間は離職の翌日からその翌年度末まで、わたしの例でいえば2020年12月31日に退職したので翌、2021年1月1日~2022年3月末までとなります。

任意継続、国民健康保険、両方の保険料を試算してもらおう

保険料の試算は在職時にできるだけ早くやってしまいましょう。

任意継続の試算

任意継続の場合の試算は加入している企業健保や協会健保に問い合わせて、自分の保険証の番号を伝えて「任意継続した場合の納付金額はいくらになりますか」と電話で問い合わせればすぐに回答してもらえると思います。その金額が扶養している家族分を含めた保険料となります。

国民健康保険の試算

国民健康保険の試算は自治体の窓口で「〇月〇日に退職予定で、健康保険が資格喪失するので国民健康保険に変更したいが保険料の試算をして下さい」といえばすぐにやってもらえます。

その際自分ひとりの保険料ではなく、扶養家族分も一緒にお願いして全部で保険料がいくらになるのかを確認するようにしましょう。

会社都合による軽減が受けられる場合はその場合の試算もしてもらうことが大切です。

実際には失業してからハローワークで「雇用保険受給資格者証」を発行してもらい、そこに記載された離職理由のコードが、「非自発的失業者」を証明するものであることが確認されて初めて軽減措置を受けられます。

窓口では「今回の退職が会社都合なので、軽減措置を受けた場合の試算も出してください」とお願いすれば出してもらえます。

比較検討をして選択する

試算が出そろったら検討して、一番負担の少ない健康保険を選択します


わたしの場合前述したように任意継続の場合の試算保険料は月約3万6千円でした。
市役所で国民年金保険料としてわたしと扶養家族である妻と娘(小学生)の保険料を試算してもらいました。

家族3人分で月換算約4万3千円(実際は8期に分けて納付するので一回約6万4千円の納付額)となり、この時点では任意継続のほうが約7千円お得です。

しかし会社都合の退職による軽減が盛り込まれた場合の試算では月換算で家族3人合わせて約1万5千円となりました。任意継続に比べさらに2万円以上の負担減です。

というわけでわたしは国民健康保険を選択しました。

手続きは在職中から始められる場合もあります

薬代

在職中に始められることとして、まず前述した保険料の試算とどの健康保険に加入するかの選択が優先となります。健康保険は各自治体によって細かいルールなどが違うこともあるので、最寄りの自治体に相談することが必要です。

自治体によっては在職中に会社から事前にもらっている「健康保険資格喪失証明書」を見せれば、まだ在職中で協会健保などの資格が喪失していなくても国民健康保険証を発行してもらえるところもあるらしいです。

わたしはその話を聞いてすぐに市役所に行って問いあわせてみましたが、わたしの住んでいる場所の市役所は受け付けてくれませんでした。試算はしてくれますが手続きはあくまで退職してからとのことでした。

他に手続きではありませんが、在職中にもし健康上で気になることや持病がある場合は通院や診察を優先しましょう。

仕事が忙しくてとりあえず経過観察になっている治療とか歯の健康状態など、この際診察や通院を優先して健康上のリスクを取り除いていた方が、今後の就職活動にも全力で取り組めます。

わたしは長年服薬治療をしていた胆石がありました。特に症状はありませんでしたが思い切って手術で取り除いてしまいました。

胆石手術に関してはこちら ↓ 
胆石に悩んでる人は服薬より手術がオススメ!! 痛みは少なく、回復も早い

これは国民健康保険に代わると高額医療の追加給付が無くなってしまうからです。わたしは在職中、協会健保のうちに手術をしてしまったので、給付を受けて手術入院費用はほとんどかかりませんでした。

それから歯医者で歯のオーバーホールも頼みました。とにかく手続きが始まる前に懸案事項はつぶしてしまおうという感じで通院を優先した方がよいと思います。

退職後はなによりも優先して健康保険の変更手続きをしましょう。任意継続の場合は退職翌日から20日以内に手続きをしないといけません。期日を過ぎると国民健康保険しか選択できなくなるので注意が必要です。

ちなみに新たな保険証が届くまでは、医療費はいったん10割全額を支払わなくてはいけません。後で手続きをすれば還付されますが面倒なので手続きはすみやかに行う必要があります。

国民健康保険の場合は最寄りの役所などで手続きすればすぐに保険証が交付されます。

会社都合の軽減措置を受ける予定のある人もとりあえず手続きと保険証の交付は済ませてしまいます。会社からの離職票やハローワークでの雇用保険受給資格者証の発行などを待っている必要はありません。

雇用保険受給資格者証が遅れると、先に軽減措置が取られていない通常の納付額の振り込み用紙が送付されてきてしまう場合がありますが、資格証が出た時点で市役所に行って手続きすれば軽減措置が盛り込まれた新たな納付書を発行してくれます。

先に送られてきた納付書は破棄して、軽減された額の新たな納付書で納付をしましょう。また先に送られてきた納付書で軽減されていない額を納めてしまった場合でも、手続きをすれば軽減分が還付されます。

まとめ

このように、退職後の健康保険の選択は

  • 在職時の年収
  • 扶養家族の有無、人数
  • 自己都合退職か会社都合退職か
  • 退職後のビジョン

によって変わってきます。一概にどの健康保険に加入すればお得か、とはいえないものなのです。

そして選択を誤ると大きな負担増となります。退職後は家計が不安定になりますから特に影響があります。

ですので退職が決まった時点で、自分の状況を踏まえて最優先で検討する必要があります。

退職が決まると慣れない手続きが多くなり大変だと思います。わたしも色々調べて悩みましたので今回の体験を踏まえて記事にしてみました。

退職が決まったあなたが健康保険に関して参考にしていただけたらうれしいです。

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