現在、私たちの生活のなかでコンビニは、なくてはならない存在になっています。毎日お世話になっているという人も多いのではないでしょうか。単なる「便利」のための店から今では、コンビニ限定の食品やスイーツなどを目当てに「わざわざ」訪れる店になっています。
コンビニの歴史は浅く、セブンイレブンが豊洲に1号店を出したのが1974年(昭和49年)、ちなみに開店して初めて売れたものは「サングラス」だったそうです。ローソンや、西友ストアの一部門としてスタートしたファミリーマートができたのが1975年(昭和50年)と、70年代の半ばからの業態です。 「セブンイレブン」以前に国内でも、コンビニ形態の店が60年代末にあったらしいです。北海道の「セイコーマート」もその頃に始まったようですが、やはりコンビニの歴史が本格的にはじまるのは「セブン」以降といえるでしょう。
昭和40年生まれの私の年齢でいえば、「セブンイレブン」第一号店ができたときが9才で小学校3年生です。今回はコンビニという新しい形態のお店ができた当時の新鮮な感じとか様々な思い出を振り返ってみたいと思います。
目次
「コンビニ」もまだ紙袋が主流だった!?
小学生時代、私は福島県郡山市に住んでいました。東北の一地方都市で、商業は栄えていましたが、まだ東北新幹線は開通しておらず、上野から特急で2時間半くらいかかっていたと思います。栄えているとはいっても、やはり東京との格差は歴然としていて、「東京に行かなくては買えない」ものも多かったと記憶しています。
しかし、この東北の街に、「コンビニ史」にも必ず載っているエポックメイキングとなるお店が出来ます。
それが、「セブンイレブン虎丸店」です。「虎丸」は郡山の地名で、駅周辺の繁華街からは2キロくらい離れた住宅地です。この「セブン虎丸店」は1975年(昭和50年)に開店しているので、「セブンイレブン」としてはかなり早くに開店したお店です。なぜ郡山だったのかはわかりませんが・・。
「セブンイレブン虎丸店」は我国で初の「24時間営業」のコンビニとなったことで有名です。それまでは「セブンイレブン」の文字通り、「午前7時に開店して、午後11時に閉店する」という、営業形態でした。当時はそれでもかなり長時間の営業で、休業日もない、コンビニは画期的なものでした。人々はまさに当時の「セブン」のCMのキャッチフレーズ「あいててよかった!」と、その便利さを実感したのでした。
7:00~23:00という営業時間でしたが、それでも当時はそれまであった個人店などに比べて、かなり長時間の営業で、定休日もないコンビニは画期的なものでした。人々はまさに当時ながれていた「セブンイレブン」のCMのキャッチフレーズ「あいててよかった!」と、その便利さを実感したのでした。
私は、この「セブン虎丸店」から2キロくらい離れた場所に住んでいました。TVでは盛んに「セブンイレブン」のCMが流れていたと記憶しています。70年代は「マクドナルド」や「KFC」のようなファストフードが上陸した頃であり、日本人の生活様式が大きく変わっていく時代でした。「アメリカからやって来た」みたいなフレーズが新鮮でおしゃれに感じていたんですね。
初期の「セブン」には、何かアメリカを感じる雰囲気がありました。それまでの店員さんとは違う、カラフルな制服とか、陳列方法とか。
昔のCMを見ていて思い出したのは、その頃はまだビニールの「レジ袋」ではなくて、「紙袋」だったんですね。
あこがれの「スラーピー」
「虎丸にセブンイレブンができた!」という話は学校で話題になりました。行った人は、こんなものを買ったとか、こんな感じだったなどど、得意気に話し、行っていない人はそれを羨ましそうに聞いて、親に「連れていってくれ」と、せがんだりしていました。
「セブン体験者」達の話で特に小学生達が憧れたのは、当時の「セブンイレブン」にあった、今の「セブンティーンアイス」のように店員さんがコーンにデッシャーで盛ってくれる「アイスクリーム」と、未知の食べ物(飲み物?)「スラーピー」でした。
「スラーピー」は今でいう、「フローズンスムージー」みたいなもので、半分氷ってトロトロになったメロンジュースとか他にも何種類かフレーバーがあったと思いますが、それをストローで吸って飲んだり、かき氷のようにすくって食べたりするものでした。「ジュース」と「かき氷」しか知らない当時の子供にとって、この半分溶けてクリーム状になったジュース(?)を飲む、というのがなんか新鮮だったんですね。 今では普通に縁日の屋台などの「かき氷」についてくる、先がスプーン状になったストローも驚きでした。
スラーピーは専用の機械があって、グルグル撹拌しているのが外から見える構造でした。その後すぐになくなっていったことを思うと、機械の置場所でスペースを使うことやメンテナンスなどが面倒だったのでしょうか。 確かに、「スラーピー」目当てに行ったのに、機械の洗浄中とか、まだ氷っていないなどの理由で買えなくてがっかりしたことが何度かありました。
自分も「スラーピー」を飲みたい!と、思っていましたが「セブン虎丸店」は学校から帰ってきてからちょっと寄るには遠かったので、休日に友達と自転車に乗って、「初」スラーピーを体験しました。思い切り吸って、激しい頭痛に見舞われながら「すごい、これがアメリカからきた飲み物かっ!」と感動したのを覚えています。
今もスラーピーを販売してる「セブンイレブン」がある!?
この「スラーピー」ですが、とっくに無くなったものだと思っていたら、今でも扱ってる「セブンイレブン」も何件かあるようなんですね。調べてみると、都内や神奈川に多いみたいです。私が今住んでいる埼玉県には残念ながらほんとんどありません。だから絶滅したと思ってたんですね。海外では今でも定番だという話も聞きました。是非、販売を広げて欲しいですね。猛暑日が増加傾向にあるので、夏には売れると思います。普通においしいので。
「おにぎり」は置いてなかった!?
初期のコンビニには、今では、主力の「おにぎり」などは置いていませんでした。アメリカでの営業形態を持ち込んだので、「おにぎり」という発想は無かったんですね。弁当なども無かったように記憶してます。サンドイッチくらいはあったのでしょうか?
当時の感覚では「おにぎり」なんてわざわざ店で買うものではないという感じだったのではないでしょうか。 「おにぎり」は70年代後期から80年代にかけて、定番商品になっていったようです。
東北、関東と、住んでいる場所が「セブンイレブン」が覇権を握る圏内なのでどうしても「セブン」の思い出が多くなりますが、もう一つ忘れられない商品に「じゃがまるくん」があります。これは80年代になってからの販売だったと思います。
「じゃがまるくん」は肉とか野菜の餡をマッシュポテトで包んで、見た目が丸ごとのジャガイモのように見せた商品。今は「フライドチキン」とかの揚げ物類や「中華まん」のような、暖かい食品を置いていますが、そのはしりのような位置付けでした。
寒い日に食べるホクホクとした「じゃがまるくん」の旨さは格別でした。何で無くなってしまったんでしょうね。これも再販して欲しいです。
「コンビニ」の扱い品目は日本人の生活の鏡
食品だけでなく、コンビニの扱い品目は、時代によって、大きく変わっています。その時代に「あって、よかった」「よかったまにあった!」と思うものが置いてあるわけですから、取り扱い品目を見ればその時代の日本人の生活スタイルがわかります。
70年代は、タバコ関係の小物、ライターの石とかが、かなり前面に陳列されていたような記憶があります。男性の80%くらいが喫煙者だった時代ですからね。
その後、チケット販売、宅配便、公共料金の支払いなどの代行サービスも私達の生活をより便利にした画期的な業務でした。メルカリなど、個人のネット販売をしている人にはなくてはならない存在になっています。
日本人の生活にこれだけ密着している「コンビニ」なので、私はもっと、「コンビニ史」を体系的にまとめて展示する「コンビニミュージアム」みたいなものがあればいいのにと思います。 そこでは販売終了となった食べ物が復刻した食べられる。とか、創業時を再現したモデルとか。やりようによっては、けっこう集客できそうな気がします。
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