「ブドウ酒」「葡萄酒」という言葉。今ではあまり使われない言葉ですね。ほとんどの方が「ブドウ酒」とは言わず、「ワイン」と言っていると思います。
かっちゃんしかし、1960年代までは「ワイン」よりも「ブドウ酒」の方が一般的な言い方でした。
私の記憶だと、子供の頃、お正月など、親戚が集まるようなときに、祖母が「ブドウ酒があるわよ。」なんて言っていたのを思い出します。
「ブドウ酒」はいつから「ワイン」になったのでしょうか?
「ブドウ酒」はハレの日の あま~い飲み物だった
1970年代初頭くらいまで、ワインは「ハレ」の日の飲み物でした。クリスマスとかお祝い事の時にしかお目にかかれない特別な飲み物だったんですね。



その種類も今のように豊富ではなく、本格的なワインを入手するのもむつかしかったと思います。
おそらく、1960年代くらいまでは、欧米で飲まれているような本格的なワインは流通も限られており、温度管理、保存に関する技術も確立されていなったので、東京などの大都市の舶来商品を扱うような、限られた店でしか入手できなかったと思われます。当然、価格も高いものになっていたので、庶民の食卓ではお目にかかれない時代が長かったと思います。
一般庶民が飲むワインといえば「赤玉ポートワイン」とか、「ハチブドー酒」など限られた銘柄でした。「赤玉」や「ハチブドー酒」は戦前から販売されていた日本生まれのワインです。



これらは、厳密には「ワイン」(果実酒)ではなく、フレーバードワイン(甘味果実酒)に分類されるので、ワインではないのですがね。



赤玉ポートワインは、その甘い口当たりから「ポート(ポルトガル)」ワインと名付けられたのですが、1973年原産地呼称に関する国際的な決定を守るため、「赤玉スイートワイン」に変わったのね。
日本人に、ワインを浸透させるために、先人は、発酵途中でブランデーや糖分を入れたり、はちみつを添加したりして、飲みやすくしたんですね。そのため独自の甘く濃い味のワイン(厳密にはワインではないが)が誕生しました。
良くも悪くも、この甘い味が多くの日本人にとって「ワイン」=「ブドウ酒」の味として認識されていきました。
そして、この甘い口当たりから、「ブドウ酒」はどちらかというと女性の飲み物みたいなイメージが強かったと思います。



甘いお酒は、女性っていう決めつけがちょと不愉快だな・・



1960年代まで女性の社会進出は著しく少なく、多くの女性は家庭に入り、社会的地位も低かったという背景もあります。
当時は、女性が大っぴらに外でお酒をのむ機会はありませんでしたし、表向きには家庭でも、普段からお酒を飲んでいるというのは、ちょっと・・という、社会通念があったのは確かです。お正月とか、ハレの日にちょっと顔が赤くなる程度に飲む。くらいが常識とされていたんですね。



そんな時に生まれなくてよかったわ・・
女性が外でお酒を楽しむのが普通になったのは、1980年代の「男女機会均等法」の施行後くらいからだと思います。
これによって、女性が外で働くことが普通になっていきました。そして普通にいろいろな種類のお酒を楽しむようになったんですね。



私は辛口の日本酒にはまってるわ・・



今、女だから甘い酒だなんて決めつけたら、大問題になりますよね。
余談ですが、昭和36年に発生し、その後冤罪かどうかで長く裁判が続いた「名張毒ぶどう酒事件」。 この事件名も当然「ワイン」ではなく、「ぶどう酒」を使ってますね。この事件で犠牲になられた方はみな女性でした。地域の会合の後の酒宴中の惨事でした。この酒宴では、男性は日本酒、女性はぶどう酒を飲んでいたそうです。やはり当時の感覚で言えば女性は甘いブドウ酒、男は日本酒という常識があったんだと思います。
名張毒ぶどう酒事件に興味のある方は下記リンク boro様の「無限回廊」というサイトに詳細がまとめられています。
http://www.maroon.dti.ne.jp/knight999/nabari.htm
子供の頃の私にとっての「ブドウ酒」の思い出は、読み聞かせや、教育TVの人形劇で見た、グリム童話などのヨーロッパのおとぎ話の中に出てくる「ブドウ酒」です。
主人公の木こりが森に入っていくときに持ってくお弁当としてよく出てくるのは、パンと「ブドウ酒」でした。



「ブドウ酒」という、その語感が何とも美味しそうに感じて、憧れの飲み物だったのです。
お正月だったと思いますが、父親にせがんで念願の「ブドウ酒」、たぶん「赤玉ワイン」だったと思いますが、それをちょっと舐めさせてもらう機会があったのですが、初めて味わった「ブドウ酒」は子供にとっては、少し傷んだブドウを間違えて食べてしまった時の味のようにに感じて、がっかりした記憶があります。
「ブドウ酒」が 救急箱の必需品??
そしてもう一つ、「ブドウ酒」という言葉で昔から気になっていたことが思い出されます。
それは、昔は「ブドウ酒」が救急箱の必須アイテムだったということです。



なんで、ワインが救急箱に必要なんだ?



当時、親に聞いたら、「それは気付け薬だよ」といわれたのですが、「気付け」って⁇ と、今一つわからなかったんですよね。
救急箱の「ブドウ酒」って、どんなシチュエーションの時に使うのか、どれほどの効果があるのか??
愛読していた小学館の学習図鑑「保健と人体の図鑑」と理科学習漫画「人体の神秘」にも理想的な救急箱として揃える物リストに、堂々、「ブドウ酒」が推奨されています!!










ご覧のように包帯や懐かしの赤チン(マーキュロクロム液)などと共に必須アイテムとして「ブドウ酒」がリストアップされています。



しかし、私は救急箱にブドウ酒を入れている家庭なんて、今まで見たことありません。
ほんとにこれが常識だったのかは、今でも謎です。特に学習図鑑の方には「薬用ブドウ酒」との表記があり、救急箱用の「ブドウ酒」が市販されていたことがわかります。
調べてみたら、今でもネット通販や、ドラッグストアにも、ちゃんとした薬品として、
「【第3類医薬品】日本薬局方 ブドウ酒」が販売されているんですね。全く知りませんでした。



ここでは、「ワイン」じゃなくて、いまだに「ブドウ酒」なのね!!
効能は、食欲増進、病中病後の強壮、興奮、不眠症、下痢などに効くとうたってます。
用法・用量は、成人1回大匙1杯、または、お猪口に1杯程度だそうです。



お酒が好きな人だと、それだけで済まないような気がします・・・



栄養ドリンクとかサプリがたくさん出てるけど、本当にそんな少量で効くのかしら?



薬用は甘さを抑えてあり、飲用より、酸味や渋味が強いらしいですね。
よく「ワイン」は身体によいと聞きますし、ワイン好きの人はそれを免罪符のように言いますが、薬用としての量は、お猪口一杯くらいなんですね。
それにしても、この「薬用 ブドウ酒」、飲んだ方とか、「うちの救急箱にはあった。」という方のお話も聞きたいですね。 ちょっと味わってみたい気がします。



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