6年前の健康診断で胆石が発覚しました。それからずっと服薬治療してきたのですが、完治には手術が必要とのことでした。しかし手術にはどうしても腰が重くなります。
この記事は「胆石の手術体験記」となっています。 今現在、手術を受けようかどうか悩んでいる方がいたら参考にしてみてください。
目次
胆石の原因・症状
胆石は胆のうの中にできた結石です。胆のうは脂肪分を分解する働きをもつ胆汁を一時的に貯めて濃縮する役割をもつ臓器で、肝臓の下側にくっついています。
あとから摘出された胆のうを見たのですが、ちょうど漬物の「小ナス」みたいな感じでした。
胆のうの中で成分が偏って滞ってしまったり、細菌に感染したりすると胆のうの中に結石ができます。
一番多いのはコレステロールが固まった結石です。
何かのきっかけで石が胆のう内を傷つけたり、胆管に落ちて引っかかったりすると、みぞおちや背中が猛烈な痛みに襲われます。
原因は高脂肪の食生活や肥満、加齢が原因です。結石ができるだけでは無症状なので胆石があるのを知らないでいて、何かの検査の時に指摘されて初めてわかる場合も多いみたいです。
胆石発覚前 謎の腹痛に悩まされる
健康診断で胆石が見つかる前、ときどき夜中にみぞおちが急に痛むことがありました。その痛みは必ず深夜におこり、ガマンができないほどでした。布団の中でお腹を押さえて丸くなり、「うぅっ~」とうめくレベルです。
家族を起こそうか、救急車呼ぼうか・・・。という考えが頭をよぎりました。
でも朝になるとうそのように痛みが消えて普通に出勤できるんです。 胃痛だと思って市販の胃薬を飲んでると、その後は普通に生活できるので特に心配していませんでした。
その後会社の健診のエコー検査で胆石が発覚して痛みの原因が胆石だとわかりました。
先生の診断では激しい痛みや発熱などの発作がないのなら服薬で経過観察して、適当な時期に手術すればいいとのことだったので服薬治療を開始しました。
胆石は服薬治療では完治しない
胆石の薬は「ウルソデオキシコール酸」という、古くから使われている薬です。安全性が高くて価格も低いです。2か月分で1,000円くらいです。(保険適用)
最近では胃もたれ改善、消化促進の薬として市販もされているみたいです。
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この薬は古来から使用されている「熊の胆」の成分を化学的に作った薬で、胆汁の流れをよくして、肝機能改善、胆石の溶解に効果があるとされています。
胆石を溶解といっても劇的な効き方をするものではなく、ゆっくりと長期にわたって服用し続けないとなりません。胆石の種類によっては溶けないこともあるのだとか。
服用を開始してからは肝機能の数値も改善し、めったに痛まなくなりました。ただ服用は継続しなければなりません。胆石ができるような胆のうは服用をやめれば再発の可能性が高いとのことでした。
症状が無くなったのはよいのですが、症状がまったく無いのに毎食後3回薬を飲み続けるって、けっこう大変です。私も服用を忘れてしまったり、サボったりしてしまったことがありました。
いつか手術しなきゃな・・・。という考えは常に頭のすみにあったのですが、手術のきっかけは意外なことからでした。
ついに胆のう摘出手術の決心をする
胆石治療6年目、会社からの希望退職募集のおしらせが・・・。希望といってもまあ、リストラですよね。
希望退職の記事はこちら ↓
55歳で突然の ”希望退職” 募集!! 辞めるまでにやっておくべきこととは?
退職してしまうと会社で入ってる「協会健保」から、次の会社が決まるまで「国民健康保険」になってしまうということで手続きがあるのと協会健保だと法定給付に加えて付加給付ももらえてお得なのが判明。
退職後の健康保険に関してはこちら ↓
希望退職後の健康保険は任意継続or国民健康保険 どちらがお得なのか?
ということで、退職までに懸案事項の手術を受けてしまおうと思いたちました。
知人の紹介で大きな病院に行って手術の予約をしました。手術までは1か月とのことでその間に色々な検査をします。CT、MRI、血液、肺活量、尿検査、レントゲンなどなど。
コロナ禍だったので看護婦さんから「手術入院までの間に繁華街で飲むとかしないでくださいよ」と念を押されました。
胆石の手術は石だけをとるのではなく、胆のうを臓器ごとそっくり摘出してしまいます。前述したとおり胆石ができる胆のうは、石をとっても再発してしまうという理由からです。
胆のうを取ってしまうと手術後すぐは脂っこい食事をとったとき下痢をしてしまうこともあるけれど、すぐに身体が順応するから大丈夫だよ。と先生に言われました。
んじゃあ、「胆のう」なんて元々なくていいじゃん!
と突っ込みたくなります。
胆のう摘出は以前はメスで開腹して手術をしていたので3~4週間入院しなければいけませんでしたが、2000年代に入って「腹腔鏡下胆嚢摘出手術」という手法が主流となり入院期間は4~5日と劇的に短縮されました。
私の場合も火曜午後に入院して、手術のオリエンテーションやおへその消毒を済ませて翌水曜日に手術、土曜退院というスケジュールでした。
生涯初の全身麻酔手術
手術当日、手術着に着替えて血栓防止用の靴下を与えられるのでそれをはきます。手術後ずっと寝たままで寝返りをうてないとエコノミー症候群と同じ原理で血栓ができやすいので、血を循環させるため足の末端の血管をギュッとしめて血を循環させるんですね。
OLさんが足のむくみを改善させるときにはく着圧ソックスみたいなものです。
ピッタリとした靴下だからはきにくい・・・
手術は全身麻酔で行われます。今まで一度だけ「痔ろう」の手術の経験がありましたが、そのときは下半身麻酔でした。初の全身麻酔です。
腹腔鏡手術はお腹に3か所、1cmくらいの穴をあけてそれぞれの穴に「カメラ」「腹腔内を作業しやすいように膨らませるガスを注入する管」「胆のうを摘出する器具」を入れます。
切除した胆のうはおへそを少し切り開いてそこから身体の外に出します。
点滴が開始されて身体が熱くなるような感覚があり、あっ、きたきた・・と思ったらもう意識は飛んでしまいます。 次に気づいたのはもうベッドに寝かされて「終わりましたよ」の看護婦さんの声。
ヘアサロンとかで頭をマッサージされている間に気持ちよくなって寝てしまい、美容師さんに「終わりましたよ」と言われたときと同じ感覚です。
痛みは全くありません。
胆石摘出成功
摘出後の胆石は直径1~4mmくらいの黒曜石のような光沢のある石が50個くらい、じゃらじゃらと出てきました。
↓ これです。人工衛星「はやぶさ」が持ち帰った小惑星の地表物質じゃないですよ。
先生曰く、「こうゆう細かいのが総胆管に入って悪さをするんだよね」とのこと。人によっては直径2,3cmとか、鶏卵大のがゴロっと出てくることもあるのだとか。
事前に手術当日は尿道に排尿のための管を入れるといわれましたが、気が付くと自分の下半身には管が通っていない!! この手術だと当日から小用に立てるので必要なかったみたいでした。ただ管を入れたという人もいるので病院や先生の判断によっても違うのでしょう。
尿道に管を入れられなかったのはとてもうれしいことでした。 かつての痔ろう手術の時は尿道に管を入れたのですが、管を入れるときと特に抜くときが非常に痛く、思わず「ひぃっ、ひっ~」って声が出てしまいました。
しかも管を尿道に差し込んだり抜いたりするのは当然看護師さん、うら若き女性に下半身をすべてさらけ出し、「ひぃ~」と声を上げる屈辱感。どんなイケメンでも渋いナイスミドルでもあの格好はね・・・勘弁してほしいです。
今回はそれがなかったのでラッキーでした。
そのようなわけで小用は手術当日から自力で立っていけます。3か所の穴の部分はほぼ無痛なんですが、おへその中を切り開いた部分は起き上がるときや、寝返りをうつときかなり痛いです。
一番最初は看護師さん(若い女性)がついてトイレに行きます。おっかなびっくり点滴のスタンドを引きながらトイレに向かったのですが、看護師さんすぐに「はい大丈夫、自分で行けますね~」と、私を残して行ってしまいました。
そりゃもっと重い病気の人や寝たきりの人が他にいっぱいいるんですから、私なんかにかまっていられないのでしょうね。わかります。わかりますけどちょっと心細い。
ようやくベットによろよろ戻ってきた私にさっきの看護師さんが「わあすごい、大丈夫でしたかぁ、がんばりましたね」と、ニッコり。あの看護師さん「ツンデレ」ですね。
でもおっさん相手には有効です。あの笑顔で俄然リハビリのモチベーションあがりましたもん。(笑)
「肩痛」という副作用に苦しむことに・・!!
手術も成功し、あとは退院まで食べて寝るだけだと思っていた私は突然ひどい肩こりに襲われました。その肩痛といったら今まで経験したことのない痛み。本当に立っていられないんです。
寝違えたのかと思っていましたが、痛さの度合いが半端ないです。寝ていれば少し楽になるのですが不思議なのは痛いのが右肩だと思っていると急に今度は左肩が痛むという具合です。
何かがとりついたのか・・・? と思いました。次第に吐き気もしてきて食事ものどを通らなくなってしまいました。
あとでわかったのですが、一定の割合で腹腔鏡手術の術後合併症としてこの肩痛を訴える人がいるらしいです。手術のときにお腹を膨らませた炭酸ガスが影響しているらしいですが、まだ解明されていないそうです。
この不快な痛みは退院して2日後くらいまで続きました
完治
これが手術1か月後の傷跡です。3か所の穴は手術直後からほとんど痛むこともなく、傷跡もめだたなくなりました。 おへその部分も切ったのが中側なのでそんなに目立たないです。
こうして6年間付き合ってきた胆石とはおさらばすることができて、ずっと飲み続けてきた薬も必要なくなりました。術後すぐに普通に食事をしてますが、下痢をするとかの異常はなく以前とまったく変わりありません。
なんでもっと早く手術しなかったんだろうという感じです。会社も5日休んだだけで翌週から復帰できました。重たい荷物を持ったりするにはさらに1週間くらいかかりました。
手術費用は25~30万ぐらいですが高額医療限度額申請を出しておいたので差額ベット分を入れても自己負担10万くらい、さらに健保の追加給付で5万ほど戻ってきたので実質負担5万くらいでした。
医療保険にも入っていたので、結果10万くらいの黒字になりました。
最後に
胆石はまれに「がん化」するといわれています。可能性があるというだけでそんなに怖れる必要はないのですが、胆のうがんの人の胆のうには多くの場合胆石が見つかるらしいです。
無症状だとなかなか手術に踏み切れないと思いますが、ここぞという大切なときにもし発作がおこってしまったら大変です。
胆石があっても自覚のないまま一生を終わる人もいるといいますが、もし痛みとか体調に異変があるときは思い切って手術をして完治を目指すのが得策です。
思っているほど痛くないし、負担感もないですよ。
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