仕事や旅行、普段の買い物など、車で移動中に空腹感を覚えたとき、高速道路であれば、SAやPA、国道など一般道の場合は、ファミレス、ファストフード店、あるいは簡単に済ませる場合はコンビニで食料調達。というのが現代では普通です。主要道路であれば、うどん蕎麦など和食系、ラーメン屋などの中華系、イタリアン系、ハンバーガー系・・・と、あらゆるジャンルの食べ物を選択できます。
しかし、70年代初頭までは、食事ができる場所というのがかなり限られていました。60年代を境に「車」が庶民にも浸透してゆき、モータリゼーションが急速に進んだ時代でしたが、まだこの時代の主要な飲食店というのは、駅に近い繁華街にあるのが普通で、ロードサイドは寂しい状況でした。
かっちゃん60年代は高速道路も全通しているのは、東名・名神のみ。中央道がごく一部開通していたくらいです。
そのため、他の主要街道となる国道の混雑と渋滞は今とは比べ物にならないくらい劣悪でした。
我が国の交通事故の件数、死亡者がワーストであった時代です。



交通戦争とか言われてた時代だな・・
増加する一方の車。しかし、当時はファミレスも大手ファストフードもコンビニも存在してません。



みんなご飯はどこで食べてたのかしら・・
大手の外食チェーンが存在しなかった時代、飲食店は、ほとんどが個人営業の店でした。個人のラーメン屋とか、大衆食堂みたいな店で、食事をとっていたのでした。
ただ、そのようなロードサイドの飲食店の数は、今とは比べ物にならないほど少なく、営業時間もごく例外を除いて24時間営業などの長時間営業はなかったので、車で移動する際の食料調達は結構大変だったのではないかと思います。



そのような背景から、「無人レストラン」「オートパーラー」など、色々な食べ物を自販機で販売する店舗がうまれたんですね。



それ、今じゃ絶滅危惧種になってるけど、レトロブームで人気になってるとこだね。。



この上尾オートパーラー、近所にあって人気だったのに閉店しちゃったみたいね。



販売は自動でも、食材は仕込みが必要だし、当時の部品もなくなってるし、加えてオーナーの高齢化と、消えていく運命にあるようですね。
主要道路沿いの飲食店には、古くから存在する、「茶店」的な存在のものもありましたが、60年代からのモータリゼーションの発達とともに、登場したのが「ドライブイン」という言葉とその名を冠した飲食店です。
「ドライブイン」登場
70年代初頭まで、車で移動しているときに食事をする場所として、「ドライブイン」という施設が一般的でした。
国道など主要な道路沿いや、観光地の展望台などには必ずドライブインがあって、みんなそこで食事をとっていたのです。
「ドライブイン」の形態
私の中では、「ドライブイン」の形態として、次のような分類をしています。
① 古くからの茶店的な店 大衆食堂がそのままドライブインを名乗っているところ
かつて徒歩が旅の主流であった頃から存在した、峠の茶店や、大衆食堂的な店が、当時、ハイカラな響きであったと思われる「ドライブイン」を名乗ったところ。 長距離トラックの運ちゃんが、かつ丼とかカレー、うどん、そばを大盛りで食べてるイメージです。



こういう店は旨くて安くて、量も多いので、いまだに繁盛している店が結構ありますね。
② アメリカの車文化の流入で、当時の「おしゃれで先進的なあこがれのアメリカ」文化を日本に取り入れたドライブイン。 50年代 60年代を題材にしたアメリカ映画(アメリカン・グラフィティとかバック・トゥー・ザ・フューチャーみたいな)に出てくる、ダイナーとかパーラーをイメージした店。 メニュー的には喫茶店風というか、「ミートソーススパゲティ」とか「ナポリタン」みたいなものを出してるお店で、飲み物もコーラやファンタのポスターが貼ってあったりするような、「当時の若者」をターゲットにしていたような店。私はこれを「正統派ドライブイン」と名付けました。



この正統派ドライブインは、まず残っていないですね。。
①は、うどん、そば、ラーメン、カレー、かつ丼、定食と、日本人ならだれでも大好きなものばかりだし、個人店として独特なサービスや名物があったり差別化も図れます。旨ければそのまま名物食堂として人気店になり、生き残っていますが、②は、マクドナルドやKFCなどの大手ファストフードやファミレスが進出すると、個人店としてはとうてい太刀打ちできません。



ただ、時々、「開店したときは、おしゃれなドライブインだったんだろうな・・」 という、当時の面影を残す店があったりするんですよね。
そんな「正統派ドライブイン」の往時の面影が残る店が、埼玉県本庄市にあるのを知って、訪問してみました。
現存最古⁈「不二ドライブイン」は往時の面影が残る、正統派ドライブインだった!
「不二ドライブイン」は、埼玉県本庄市の街中、国道17号と、旧中山道の交差点にあります。
大きな看板には、「地元の皆様方に支えられ日本一続く」 とあります。
こちらの創業は昭和39年(1964) 1回目のオリンピックの年ですね。





「一年間毎日変わるセットメニュー」って、毎日違うものが出るのか⁈



そうなんだ。後で説明するけど、それがここの売りなんだよ。




不二ドライブインはファサードに大きく張り出した庇に一本支柱が入った独特のデザインをしています。



うーん、往時のおしゃれな雰囲気を感じますね。
建屋はさすがに古びていますが、ピカピカにして、横文字のネオンサインとかをつけて、店の前にテールフィンが思いっきり立った、60年代のアメ車が数台停まっていたら、そのままアメリカン・グラフィティーのダイナーみたいな雰囲気です。
中に入ってみました。




店内は・・・ さすがにアメリカン・グラフィティーとはいかずに、大衆食堂です。。
でも給仕をする、年配のおばさま(80代くらいの方もいそう)が沢山いて、 お客さんもあとからあとから入ってきます。お店の人気がうかがえます。年配の方や家族連れが多いですね。おばさま達もてきぱきと、注文をとったり、配膳をしたり、とても活気のある店です。
そして前述したとおり、この店の売りが、一年間、毎日変わる定食セットです。
もちろん、普通のカレーやうどん・蕎麦、定食類も豊富ですが、ほとんどの方がこの日替わりセットを注文している様子です。
週一の休業日があるので、それを抜いたとしても年間300を超える毎日、絶対にメニューが被らない日替わりランチを出しているんですね。
!



これはスゴイ! 毎月の献立表が、ご自由に
お取りくださいって、置いてある。


メニュー一つをとっても、「銀さわら幽庵焼き&ヒレカツと旨塩アサリバターうどん」とか「ヒレ&イカ&エビフライ重とあごだしワンタン麺」とか、 結構凝っているんですよね。こんな感じで年間300種類以上の献立!



献立考えるだけでも、ため息がでるわ・・



食材の仕入れや仕込みも大変だよね~
しかし、これがあるから、「地元の皆様方に支えられ日本一続く」となったんでしょうね。みんなこの日替わりを楽しみにしている様子。年配の常連客は毎日ここで昼飯を食べるのが日課なのでしょうね。 物価高でさすがに¥1265になっていましたが、つい最近まで、千円以下で提供していたようですね。


トマトラーメンと、メインを鶏唐揚げに変更して注文しました。 さすがに揚げ物となどは冷凍食品や既製品を使っているような感じですが、ドライブインにそれ以上は求めません。必要十分なお味でした。



コーヒー類やクリームソーダみたいな飲み物が充実しているのが、正統派ドライブインの流れを汲んでいると感じました。
どんな所?TV 様 YouTubeより
「ドライブイン」は文化遺産
いやあ、とても良い店でした。いつまでも続いて欲しいですね。「毎日被らない日替わりランチ」はさすがに大手チェーンにはできない、唯一無二のオペレーションです。
アメリカの車文化と一緒にわが国に入ってきた「ドライブイン」は、大手外食チェーンに圧されて、その多くは姿を消しました。 しかし、一方、日本人の嗜好に合わせて進化してきた店もあります。
全国にはまだユニークな「ドライブイン」が現存しているみたいです。
最後にもう一つ、「ドライブイン」発祥のお店を紹介いたします。こちらは古くて新しいお店。



熊谷市内にある「ニュートウゲ」 というお店です。
ここは、10年ぐらい前まで、「ドライブイン峠」という、もつ煮や、その他定食等を提供する、古いお店だったのですが、創業者のお孫さんの代で、「ニュートウゲ」というこちらは本格的になアメリカンダイナーとして生まれかわりました。お店を経営するご夫婦もアメリカン・オールディーズの恰好が決まっています。



ダイナーらしいメニューと、お店のDNAを受け継ぐ、「もつ煮」もメニューにあります。


色々なチェーン店が大量に進出するロードサイドですが、やはりそれだけじゃつまらないですよね。
「ドライブイン」は日本独自の文化遺産だと思います。




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