「パンシロン」の前に「シロン」があった。

シロンs 昭和 懐古

家庭の常備薬というのは、その家庭によって、決まっていることが多く、「うちは昔からこれだよね」という感じで、同じ薬を使用し続けることが多いです。

頭痛薬なら「バファリン派」と「ノーシン派」とか、総合感冒薬なら「パブロン派」「ベンザ派」「ジキニン派」・・・etc.

胃腸薬も、ロングセラーが多く、色々な派生品はありますが、「太田胃散」「新三共胃腸薬」そして、「パンシロン」などがあります。

「パンシロン」はロート製薬から昭和37年に誕生しました。混在は様々な派生品も出ています。胃酸の逆流に特化したものや、ストレスによる胃の不調に特化したものなど、様々な種類の「パンシロン」があるようです。

一番最初のオリジナルの「パンシロン」はその後、改良されて現在「パンシロンG」として今も販売されています。

「パンシロン」といえば昔から「パ~ンシロンでパン、パン、パ~ン」のCMソングで有名ですよね。今は「パンシロン」という名称で多く人達に周知されてます。でも、最初からいきなり「パンシロン」という薬ができたわけではありません。

今でもひっそり販売されている「シロンS」

「パンシロン」の前身は昭和29年発売の「シロン」です。そしてこの薬、「シロンS」と名称は若干変わりましたが、今だに、販売されています。「パンシロン」があんなに周知されているし、現代的な派生品も多いのに、何で販売され続けているんだろう? と、前から思っていましたが、やはり「うちは昔からこれなんだ」という、保守層の支持を得ているんでしょうね。我が家は昔から胃腸薬は「太田胃散」だったので、あまりパンシロンは飲んだ記憶がありませんが、あの「パ~ンシロンで・・・・・」のCMは昭和の人気番組「お笑い頭の体操」やその後継番組「クイズダービー」など、ロート製薬一社提供の番組で盛んに流れていましたから、とても親しみがある名称でした。あのCMによって「パンシロン」の認知度があがり、その前に「シロン」があったことを知っている方は、代々「シロン」を常備して服用している人以外では少ないのではないでしょうか。

しかし、「シロン」(正確には「シロンS」)はドラッグストアの胃腸薬のコーナーの決して目立つ場所ではない端の方にいまでもひっそりと置かれています。

「シロン」はおしゃれなネーミングだった!?

「シロン」というネーミングには何か意味があるのかと思って調べてみたところ、かつてロート製薬の社長を努めた山田輝郎さんという方が、戦前にスイスのレマン湖を訪れた際、その湖畔に佇む「シヨン城」の美しさに感動して、戦後になって新たな胃腸薬にその名をつけたのだとか。「シロン」はその英語読みらしいです。なんともおしゃれなネーミングだったんですね。

「パンシロ~ンでパン、パン、パ~ン」が元はスイスの古城からきているなんて思いませんでした。因みに、「パン」は「all」とか、「universal」の意味の接頭語です。元々ギリシャ語らしいですが、「すべて」とか「総」の意味があり、漢字では「汎」と、書きます。「Pan-American」「Pan-Pacific」とかの「Pan」です。

気になったので「シロンS」を買ってみた

マイナーでレトロな「シロンS」、とても気になったので、買ってみました。

パッケージを開けてみると・・・

渋いっ、薬包紙だぁ~

薬包紙を今だに使っている薬といえば、風邪薬の「改源」とかもそうですが、さすが「シロン」、歴史の長さを感じさせます。さすがに大昔のように箱にじかには入っておらず、ビニールの袋に小分けにされてますが、「シロン」や「改源」を飲むような層は「昔から・・」という超保守派だから、今更ビニールコーティングで密封された、現代の薬のパッケージに変更することを許さないのだろう・・。

薬の匂いは、太田胃散とかと同じ、胃腸薬特有の香りです。

画像がぼけていますが、成分は「ケイヒ」「シャクヤク」「センブリ」といった健胃生薬や制酸剤中心の、いわゆる昔からある「胃腸薬」でした。
どうせなら飲んでみよう・・ と思って、近所の中華屋でラーメン+チャーハン大盛を食べました。胃腸薬を飲むために、大食いをするという・・・(笑)

薬包紙を開いて二つ折りにして、上を向いて口の中にサラサラ(ちょっと粒子が片栗粉のように細かいのでサラサラしてませんが)、なんかこうゆう薬の飲み方って、久しぶりです。
健胃生薬の芳香は漢方みたいな味ですが、いやな感じはしません、むしろ好きな香りです。苦みもさわやか。「メントール」が入っているためか、飲んだ後にみぞおちあたりが スゥーっとして、いい感じ。
現代の新しい胃腸薬は、H2ブロッカーとか、新しい成分が入って、胃酸の分泌自体を抑えたりと、高性能なのでしょうが、この「薬包紙」の粉薬を飲むという行為がいかにも「薬」という感じがして効きそうに感じます。飲んだ後の清涼感も体感できるので、、「プラセボ効果」とは少し違いますが、より「効いた感」が感じられました。

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まとめ

ロート製薬の胃腸薬「シロンS」は、主力の「パンシロン」シリーズが出る前からのロングセラー胃腸薬でした。
薬包紙に包まれたレトロな外観は今なお、一定の層には支持されているようです。
ロート製薬は「シロン」の前、戦前には「胃活」という胃腸薬を販売していたようです。こちらも「効きそうな」、いいネーミングですね。こちらは現品がないのでどのようなものだったかわからないのですが・・・。

胃活
「胃活」(ロート製薬 企業情報 歴史沿革より)

いつでも家庭に常備しておくものというのは、「薬」や「調味料」「インスタントラーメン」のような食品というものは、これというものが決まると、その家はずっとそれを使い続け、そこで育った子はそれが普通だと思うので、代々買い続けるものです。 人間ってそれだけ保守的なんだと思います。食品も薬も毎年、多くの新商品が発売されては消えていきます。何年も売れるロングセラー商品はなかなか出るものではありません。
これを機に、我が家も「シロンS」派になりましょうかね(笑)

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